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台風30号の死者・行方不明者 22

 台風30号の死者・行方不明者 22

比台風:息子、生きているのでは…1600人以上なお不明
毎日新聞 2013年11月24日 09時24分(最終更新 11月24日 11時26分)

台風30号がフィリピン・レイテ島などを直撃して半月が過ぎたが、いまだ1600人以上が行方不明のままだ。大きな被害の出た同島タクロバン市の避難所では、多くの人が最愛の家族の身を案じながら不安な日々を送っている。

 「どこかで生きていてくれるのでは」。同市中心部の避難所に身を寄せるナリサ・エストラーダさん(43)は、今もその思いが消えない。

長男ディノさん(24)、母(63)、姉(45)、おい(38)の家族4人が行方不明だ。夫とは既に死別しており、助かった父や姉妹ら7人と避難生活を送る。

 8日午前7時ごろ、家族と食卓でコーヒーを飲んでいると、海から約10メートルの自宅を突然高波が襲った。波にさらわれ、約4時間泳いで陸地にたどり着いた。

約30分歩いて避難所に到着。父らとはそこで再会できたが、長男ら4人の姿はどこにもなかった。

 ディノさんは、勉強熱心な自慢の息子だった。高校卒業後、専門学校で建築とコンピューターを学び、コンピューター技師の職を探していた。

最後の会話は高波が自宅を襲う約1時間前に交わした「おはよう」のあいさつ。あの日、もっとたくさん話しておけばよかったと悔やんでいる。

 避難所に来てからは毎日泣いていたが、最近は次第に現実を受け入れつつあるという。だが、「今も生きているのでは」という思いが浮かび、心は揺れる。

本当は自宅跡まで捜しに行きたいが、車もお金もないのでかなわない。三男のサムエルさん(18)がいつも寄り添い、励ましの言葉を掛けてくれる。

 ナリサさんの夢は、いつか自宅を再建してまた家族みんなで暮らすことだ。「お金もなくなってしまったので、いつ実現できるかは分からない。けれども、それを唯一の希望にして生きていきたい」


    (毎日JP からです).