台風30号の死者・行方不明者 5

台風30号の死者・行方不明者 5

<フィリピン>道端に多くの遺体放置…想像超える被害状況
毎日新聞 11月12日(火)21時26分配信

 【セブ(フィリピン中部)袴田貴行、岩佐淳士】台風30号で壊滅的な被害を受けたレイテ島の中心都市タクロバンから軍の輸送機でセブ市に逃れた82歳の女性が12日、取材に応じた。
 
女性は多くの遺体が放置された道を6時間かけて歩き、ターミナルの屋根が吹き飛んだ空港で一夜を明かした末、ようやくタクロバンを脱出した。「人々は空腹で殺気立ち、とても恐ろしかった」。
現地の想像を超える凄惨(せいさん)な状況が浮かんだ。

 取材に応じたのは、タクロバン郊外に自宅があるホリタ・ラトハさん。

 台風は8日朝にタクロバンを直撃した。ラトハさんの自宅は腰のあたりまで海水が流れ込み、屋根は暴風で吹き飛んだ。どこに逃げていいか分からず、同居する息子一家らとともに備蓄してあった食料でしのいでいたが、まもなく食料は底をついた。11日早朝、息子一家と徒歩で空港を目指した。

 道路には、空港に向かう人々と食料を確保するため街へ向かう人々が、それぞれ列をなしていた。道の周囲には多くの遺体が放置されていた。「ひどい悪臭で、目をそらしながら約6時間、必死に歩きました」

 空港では、既に多くの家族連れらが島外に脱出するため、民間機や軍輸送機への搭乗を待ってごった返していた。
 
いつ乗ることができるか分からない。だが、約1週間前に高血圧などの治療を受けて退院したばかりで、自宅に戻る体力はない。やむを得ず屋根のなくなった施設で、雨にぬれながら一夜を明かした。

 翌朝、震えているところを軍関係者に発見された。一家の中で、1人だけ輸送機への搭乗を許された。
 
「自分が高齢だから優先してもらえた」。息子一家とは、離れ離れになってしまった。自分は運よく助かったが、息子たちを思うと胸がつぶれそうになる。

 タクロバンでは食料や水が不足し、住民らが商店に押し入り、物資を奪っている。やっと身を落ち着けたセブの親戚宅で、ラトハさんはおびえた表情で言った。
 
「こんな経験はしたことがない。今のタクロバンは危険で、何もない。復興しようにもどうすることもできない」

遺体回収進まず・感染症の恐れも…比被災地
読売新聞 11月12日(火)20時36分配信

 【マニラ=鈴木隆弘、梁田真樹子】猛烈な台風30号の直撃から4日過ぎたフィリピン中部の被災地では12日、遺体の腐敗が進んで悪臭が漂うなど、衛生環境の悪化に対する懸念が広がっている。

 被災地は高温、多湿の気候に加え、熱帯低気圧の接近で雨も降り、感染症の発生の危険性も指摘されている。

 「被災者の生活環境は悪化するばかりだ」。フィリピン衛生当局の広報官は12日、本紙に対し、被災地の衛生環境が悪化している状況に懸念を表明した。

 特に深刻な状況になっているのは、遺体の回収が進んでいないことだ。政府発表の死者数は、被災地全体で1774人だが、甚大な被害が出た中部レイテ島のタクロバンだけで1万人を超えるとの指摘も出ている。
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