台風30号 11月24日~

被災の比女性、2歳の娘をドラム缶へ 「目さめたら水に浮いていた」

 
 台風30号で甚大な被害が出たフィリピン中部で、妊婦のパメラ・バルディザールさん(20)は強風が引き起こす荒波にもまれながら2歳の娘をドラム缶に入れて必死に生をつないだ。

「震えが止まらないほど怖かった」。避難したセブ島で、かろうじて生き延びた被災体験を振り返った。

 漁師町のサマール島ギワン。台風が襲った8日午前3時過ぎには親戚宅の1階で寝入っていたが「気付くと体が水で浮いていた」。海からの高波が何度も押し寄せては引いていき、胸元まで水に漬かった。

 幼い娘を守ろうとドラム缶に入れた。暗闇の中、妊娠8カ月の大きなおなかで、ドラム缶を押しながら懐中電灯の明かりだけを頼りに知人宅まで泳いだ。

 約4時間後。周囲が明るくなり一変した町の様子が目に入った。自宅は跡形もなく押し流され、近所の住民も溺れたりして命を落としたという。

子どもたちのため道に落ちていた食べ物を集め飢えをしのいだ。政府の配給があったのは5日目だった。(共同)

    (IZAニュース からです)

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<フィリピン>屋根吹き飛び荒れた教会 人々は一心に祈り
毎日新聞 11月24日(日)20時55分配信 

 国民の9割以上がカトリックといわれるフィリピンで、信仰が台風30号で被災した人たちの心のよりどころとなっている。

24日、中部レイテ島パロに1596年建設されたパロ教会では、あいにくの雨にもかかわらず約300人の信者が一心に祈りをささげていた。

【がれきが一面に】フィリピン台風 被災地の様子

 台風が上陸した8日、礼拝堂の屋根は吹き飛び、調度品も水浸しになった。しかし、人々は自分のことは後回しにして教会に駆け付け、10日の朝にはいつも通り日曜のミサが行われた。

 マルティン・クビ神父(36)は「今は皆苦しい時ですが、必ず神は救ってくださる。それを支えに生きていきます」と話した。【武市公孝】

    (ヤフーニュース からです)

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海面上昇12ミリが「悲劇」を増幅 比台風、世界気象機関が報告1


 
多数が命を落とした高潮による被害は、地球温暖化による海面上昇で増幅されていたという。被害拡大のリスクへの警告は、活かされなかった。

 台風30号の直撃でフィリピンが受けた高潮による甚大な被害は、地球温暖化が原因の海面上昇によって増幅されたことが、世界気象機関(WMO)の報告で明らかになった。

報告によると、今年の世界の海面上昇速度は平均で年3.2ミリと過去最高を記録し、なかでもフィリピンはその約4倍の年12ミリにも達した。

島(とう)嶼(しょ)国や沿岸地域では海面上昇による高潮被害の拡大リスクが指摘されてきたが、WMOは「フィリピンの悲劇がそれを証明した」とし、気候変動への世界的な取り組みの必要性を訴えている。

■世界平均の4倍

 「フィリピンは観測史上最大級の台風の被害による惨状にあえいでいる」

 WMOのミシェル・ジャロー事務局長は13日、ポーランドワルシャワで開かれている気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)で報告を発表し、その中でフィリピンについて言及した。

 
  
 WMOは1993年から人工衛星を使って世界の海面上昇を測定してきた。2001年以降の上昇率は年3ミリ以内で推移してきたが、今年3月の測定で初めて年3ミリを超えた。

太平洋の赤道付近は特に上昇が激しく、フィリピンでは世界平均の4倍近くに達したとしている。

 報告は、海面上昇のメカニズムについて、「かつてない濃度にまで高まった二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスによって大気が温められ、その大気が海洋に吸収されて、海洋の温度が上昇し、海氷が解け続けている」と説明した。

■海水温上昇続く

 ジャロー氏は「われわれの未来はさらに温暖化し、何百年にもわたって海洋の温度は上昇を続けるだろう」と警告。「沿岸地域の住民はすでに高潮の被害を受けやすくなっている」とし、今回の被害によって、地球がかつてないほど異常気象に脆弱になっていることが証明されたとの認識を示した。

 フィリピンでは、強力な低気圧である台風の上昇気流で吸い上げられた海面が、強風にあおられて津波のような高潮となって押し寄せ、甚大な被害をもたらした。

 さらに、海洋の温度上昇などの気候変動が、今回の30号のような“モンスター台風”を発生させたとの指摘もある。

ジャロー氏は「個々の熱帯低気圧の発生は、気候変動が直接の原因とは言えないかもしれない」としながらも、「発生頻(ひん)度(ど)と気候変動との因果関係について研究が進めば、相互影響の強さが明らかになるだろう」と語った。

■「狂気止められる」

報告が発表されたCOP19では、11日の開幕日にフィリピンのナデレフ・サニョ代表が「わが国で起きた異常気象による狂気の再発を防ぐ有意義な結果を出さなければならない」と涙ながらに語り、交渉が進展するまでの断食を宣言した。

会場では、サニョ氏に共鳴した環境保護団体のメンバーら約50人が断食を始め、世界各地でも連帯する動きが広がっているという。

 台風上陸から15日で1週間。サニョ氏が家族とともに暮らしていた被害が最も大きいレイテ島タクロバンでは食料や水が不足し治安も悪化している。

 「われわれは問題を解決し、狂気を止めることができる」。サニョ氏は、先進国と途上国が一致して温暖化対策に取り組むことを切望している。

   (IZAニュース からです)

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