台風30号 11月12日~11月23日
COP19 台風30号直撃のフィリピン代表が涙の断食宣言
木村 正人 | 在英国際ジャーナリスト
2013年11月12日 6時33分
木村 正人 | 在英国際ジャーナリスト
2013年11月12日 6時33分
11日、ポーランドの首都ワルシャワで始まった国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)で、フィリピンを直撃し、死者1万人と推定される観測史上最大規模の超大型台風30号「ハイエン」について、同国政府のサノ代表が涙を流しながら17分超の大演説を行った。
フィリピンでこの3日間、食事も口にせず、両手で遺体を集め続ける兄弟を思いながら、サノ代表は「COP19で意義ある合意を形成できるまで、私は自発的に断食する」と宣言。
会議場ではスタンディング・オベーションが1分近く鳴り響いた。
サノ代表は日系人のように見えるが、ソーシャルメディアのFacebookやTwitterによると、マニラ出身で、日本で言えば東京大学の当たるフィリピン大学ディリマン校を卒業した秀才。
2010年からフィリピン政府の気候変動委員会で勤務しており、現在は委員長。
環境運動家で哲学者、自然愛好家、平和活動家、急進的と自己紹介している。
Youtubeや英紙ガーディアンからサノ代表の演説や主張を再現するとー。
最大瞬間風速105メートルといわれるハイエンの威力について、サノ代表は「前例がない。想像もしていなかった」と表現。「私はフィリピン政府を代表して演説している。
しかし、また、もう語ることもできなくなった数え切れない同胞、そして災害孤児たちのために語っている」と涙ぐんだ。
サノ代表は被災した自分の家族に触れ、「メディアの報道を見て、あまりの被害のひどさに表現する言葉を失った。私の兄弟は幸いにして生き残った。
この2日間、自らの両手を使って遺体を集め続けている。3日間、食事を口にしていない」と証言。
「私たちは有効な地球温暖化対策で合意できなければ、自らの悪い運命と契約を結んでしまうことになるかもしれない。私たちは歴史的な責任に直面している」
「食事を見つけて家に持って帰るために格闘しているフィリピン同胞との結束のために、私は今、地球温暖化対策が講じられることを求めて自発的に断食を始める。
これはCOP19(22日まで)で意義のある結果が導き出されるまで、私が食事を断つことを意味している」
「この異常な気象現象の結果としてわが国が経験したのは狂気である。異常気象は狂気なのだ。私たちは今すぐに当地ワルシャワでこれを修復できる、この狂気を止めることができるのだ。
ハイエンのような台風とその衝撃は温暖化対策を引き延ばせないことを国際社会に突きつけている」
「気候変動により、さらに強力な台風が増えることを科学は私たちに教えてくれている。地球が暖かくなるにつれ、海洋も暖かくなる。フィリピン沖の海洋に蓄えられたエネルギーが台風の激しさを増す。私たちが目の当たりにしている現象はより破壊力のあるストームが新たな基準になったということだ」
「私はあえて気候変動の現実を否定し続けるすべての人に海面上昇の現実を見せるため太平洋、カリブ海、インド洋の島々に連れて行きたい。
解け出した氷河による洪水にさいなまれる共同体を見せるために、ヒマラヤやアンデスの山脈に連れて行きたい。北極海の氷がどんどん溶けている状況を見せてやりたい」
「それでも十分でなかったら、彼らは今すぐにでもフィリピンを訪れることを望むかもしれない」
「先進国の温室効果ガスの削減目標は破滅を防ぐのには十分ではない。今すぐに目標を上げなければならない。先進国が1990年比で40~50%削減していたとしても、気候変動には歯止めがかからず、損失と被害を報告する必要があっただろう」
サノ代表は英紙ガーディアンへの寄稿の中で、「今、行動を起こさなければならない。温暖化懐疑派を象牙の塔から追い払おう」と呼びかけている。
温暖化懐疑派の政治家や科学者はサノ代表の問いかけにどう反論するのだろうか。
演説の全編はサノ代表のFacebookへ。
(おわり)
ヤフーニュース トピックス 個人 から
フィリピンでこの3日間、食事も口にせず、両手で遺体を集め続ける兄弟を思いながら、サノ代表は「COP19で意義ある合意を形成できるまで、私は自発的に断食する」と宣言。
会議場ではスタンディング・オベーションが1分近く鳴り響いた。
サノ代表は日系人のように見えるが、ソーシャルメディアのFacebookやTwitterによると、マニラ出身で、日本で言えば東京大学の当たるフィリピン大学ディリマン校を卒業した秀才。
2010年からフィリピン政府の気候変動委員会で勤務しており、現在は委員長。
環境運動家で哲学者、自然愛好家、平和活動家、急進的と自己紹介している。
Youtubeや英紙ガーディアンからサノ代表の演説や主張を再現するとー。
最大瞬間風速105メートルといわれるハイエンの威力について、サノ代表は「前例がない。想像もしていなかった」と表現。「私はフィリピン政府を代表して演説している。
しかし、また、もう語ることもできなくなった数え切れない同胞、そして災害孤児たちのために語っている」と涙ぐんだ。
サノ代表は被災した自分の家族に触れ、「メディアの報道を見て、あまりの被害のひどさに表現する言葉を失った。私の兄弟は幸いにして生き残った。
この2日間、自らの両手を使って遺体を集め続けている。3日間、食事を口にしていない」と証言。
「私たちは有効な地球温暖化対策で合意できなければ、自らの悪い運命と契約を結んでしまうことになるかもしれない。私たちは歴史的な責任に直面している」
「食事を見つけて家に持って帰るために格闘しているフィリピン同胞との結束のために、私は今、地球温暖化対策が講じられることを求めて自発的に断食を始める。
これはCOP19(22日まで)で意義のある結果が導き出されるまで、私が食事を断つことを意味している」
「この異常な気象現象の結果としてわが国が経験したのは狂気である。異常気象は狂気なのだ。私たちは今すぐに当地ワルシャワでこれを修復できる、この狂気を止めることができるのだ。
ハイエンのような台風とその衝撃は温暖化対策を引き延ばせないことを国際社会に突きつけている」
「気候変動により、さらに強力な台風が増えることを科学は私たちに教えてくれている。地球が暖かくなるにつれ、海洋も暖かくなる。フィリピン沖の海洋に蓄えられたエネルギーが台風の激しさを増す。私たちが目の当たりにしている現象はより破壊力のあるストームが新たな基準になったということだ」
「私はあえて気候変動の現実を否定し続けるすべての人に海面上昇の現実を見せるため太平洋、カリブ海、インド洋の島々に連れて行きたい。
解け出した氷河による洪水にさいなまれる共同体を見せるために、ヒマラヤやアンデスの山脈に連れて行きたい。北極海の氷がどんどん溶けている状況を見せてやりたい」
「それでも十分でなかったら、彼らは今すぐにでもフィリピンを訪れることを望むかもしれない」
「先進国の温室効果ガスの削減目標は破滅を防ぐのには十分ではない。今すぐに目標を上げなければならない。先進国が1990年比で40~50%削減していたとしても、気候変動には歯止めがかからず、損失と被害を報告する必要があっただろう」
サノ代表は英紙ガーディアンへの寄稿の中で、「今、行動を起こさなければならない。温暖化懐疑派を象牙の塔から追い払おう」と呼びかけている。
温暖化懐疑派の政治家や科学者はサノ代表の問いかけにどう反論するのだろうか。
演説の全編はサノ代表のFacebookへ。
(おわり)
ヤフーニュース トピックス 個人 から
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「気候変動による『損失と被害』」
用語の説明です。
気候変動による「損失と被害」 巨大台風に襲われたり、海面上昇で土地が水没して住める場所が減ったりするなど、地球温暖化が原因とみられる現象で起きた損失や被害を指す。
英語のまま「ロス&ダメージ(Loss&Damage)」と呼ばれることが多い。
現在の温暖化対策は、温室効果ガスの削減(緩和策)と、洪水増加に備えた堤防強化など被害の軽減(適応策)が中心。
緩和策や適応策が不十分で、実際に損失や被害が生じた場合の支援制度に関しては、国際的な議論はあまり進んでいない。(ワルシャワ時事)(2013/11/17-15:29)
(時事ドットコム からです)
気候変動による「損失と被害」 巨大台風に襲われたり、海面上昇で土地が水没して住める場所が減ったりするなど、地球温暖化が原因とみられる現象で起きた損失や被害を指す。
英語のまま「ロス&ダメージ(Loss&Damage)」と呼ばれることが多い。
現在の温暖化対策は、温室効果ガスの削減(緩和策)と、洪水増加に備えた堤防強化など被害の軽減(適応策)が中心。
緩和策や適応策が不十分で、実際に損失や被害が生じた場合の支援制度に関しては、国際的な議論はあまり進んでいない。(ワルシャワ時事)(2013/11/17-15:29)
(時事ドットコム からです)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
動き鈍い中国、「比支援に消極的」にピリピリ
読売新聞 11月23日(土)12時26分配信
読売新聞 11月23日(土)12時26分配信
【北京=五十嵐文】南シナ海の領有権で対立するフィリピンでの台風被害で、中国が当初表明した支援は、資金や物資の提供が中心で、自衛隊や米軍を即座に派遣した日米両国に比べ、動きが鈍い印象を与えたのは否めない。
最近では「支援に消極的だ」との批判に神経をとがらせ、国際的な体面を保とうと躍起だ。
中国海軍の病院船「平和の方舟」号は21日、浙江省舟山からフィリピンの被災地に向けて出港。中央テレビは22日、比外務省の報道官が記者会見で中国の支援に「感謝を表明した」と繰り返して報じた。
新華社通信によると、病院船が被災地に緊急派遣されたのは今回が初めてという。
中国は東日本大震災の際も派遣を打診したが、日本が辞退したために実現しなかった
(ヤフーニュース からです)